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ALSとは

最終更新日:平成28年4月24日

 

 

・ALSについての一般的な情報については、優れた外部サイト(例えばこちらhttp://www.als.gr.jp/など)がありますので、そちらをご覧ください。

 

・これらのサイトではあまり掲載されていないことなどについて、いくつか御紹介したいと思います。

 

・ALSとは、筋萎縮性側索硬化症とよばれ、運動機能が徐々に損なわれる病気です。3-5年で人工呼吸器の装着が必要となり、生命に関わる状態となる、とwikipediaや日本ALS協会のホームページにも書いてあります。しかしイギリスの有名なホーキング博士はALS発症から35年経過して、まだ現役の研究者として活躍しています。ひとえにALSといっても個人差が大きく、多様な病態をとりうるものです。

 

・以下の図(ALS TDIのCEOであるSteve Perrinのブログより引用)で示すように、努力性肺活量の70-120日間(平均84日)の変化(%)は、個人差が大きく、短期的にはほとんど進行が停止したような状態の方も一部おられることがわかります。

 

 

 

 

 

・筋力低下が生じる部位も様々であり、個々人に応じたケアが必要となります。2014年のAnnals of Neurology誌に掲載された論文(Elisabetta et al., Ann Neurol 2014;75:287-297)では、"10-year survival is not unexpected for ALS"(10年の生存期間はALSにおいて期待できないものではない)と記載されています

・しかしながらALSは最もシビアな病気の1つであることは間違いありません。ALSにおいて、予後に影響を与える可能性のあるいくつかの因子が報告されています。

1)BMI高値

2)体重減少前の胃瘻造設

3)多職種による包括的なケア

4)非侵襲的換気の導入時期

5)心理状態

・もしこのページを訪れて、医学基礎研究に興味がある若い方がおられたら、是非ALSの病態解明、治療法開発のための研究を志し、ALSの病態の謎を解明し、治療法を発見してください。さらに、以下の項目でも触れるように、ALS研究のための資金は特に日本では不足しています。日本ALS協会や、研究機関への資金供与という形でも、何らかのご協力いただければとてもありがたいことです。

 

 

(日本の実情・余談)
・余談ですが、ここで日本における臨床試験の資金的問題について触れます。日本の基礎研究レベルは世界的にみても優れたレベルにあることは明らかですが、ALSのために集まる資金がアメリカと比較して非常に少ないため、治療薬候補の臨床試験を行うプロセスが遅延しています。

 

・アメリカALS協会と日本ALS協会は、同じ非営利団体であり、運営資金の多くが寄付でまかなわれている団体ですが、アメリカALS協会は2014年の年間予算2900万ドル(今のレートで約32億円)、日本ALS協会は5000万円未満で予算規模に100倍近い差があります。
 

・日本とアメリカでは慈善活動という点で何か違うのでしょうか。日本のチャリティ番組で一番成功しているのは24時間テレビかもしれません。平成27年は8億5千万円以上が24時間で集まっています。一方アメリカでは、アメリカ筋ジストロフィー協会が主催のチャリティー番組が行われていました(司会者の引退で2014年で終了しています)。そこで集まった募金は2014年には50億円程度だったようです。どうしてこれほど違うのかは興味深いところです。一部の富裕層の慈善活動による違いなのでしょうか?
 

・さらに、良く知られているようにALSではアイスバケツチャレンジが当事者の提案で行われました。このアイスバケツチャレンジによりアメリカALS協会に2014年の1年間で100億円以上の募金が集まりました。日本でも話題になりましたが、日本ALS協会には、2014年11月で3755万円との報告があります。
 

・アメリカALS協会では、この資金を元に、研究機関に対して億単位の研究資金供与を行っています。一方日本では日本ALS協会からの研究機関への資金供与は百万円単位で、大差をつけられています。
 

・日本でのオレオレ詐欺の2015年の被害額は560億円だそうです。この10分の1でも難病支援に回れば、日本の基礎研究は大きく進展するのですが。。
 

・基礎研究から生まれた治療薬候補が製品化されるまでには、複数の臨床試験を経て、厚労省の認可を得る必要があります。そのために必要な資金は数十から数百億円をくだらないといわれています。日本でALS治療薬が開発されても、現状のままでは実用化に向けて多くの時間がかかってしまいます。資金不足が理由であれば残念なことです。

 

(以下平成28年4月24日追記)

 

・日本とアメリカの寄付金額の違いについて、文化的背景の違いもあるのではと思い、少し検索してみたら、以下のようなサイトがありました。

 

http://www.setsuyaku-lifeplan.com/child/08/0314.html

 

・一般的な寄付をとっても100倍程度の差があるとのことで、ALSをとりまく状況も例外ではないようです。日本でアメリカに近い寄付金を獲得するには一層の努力を要するということでしょうか。

 

・そういう点では、昨年の藤田ヒロさんのEND ALS(https://end-als.com/)での活動などは、日本での当事者による貴重な活動といえます。管理人も微力ながら協力させていただきました。今後もこうした目に見える形での活動が継続的に展開され、ALSについての理解と協力が広がることが期待されます。

 

 

 

 

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